空に虹を描くまで
この前はわたしが買って陵にあげたんだ。
陵のガラス工芸をやっている姿が脳裏に浮かんだ。
また見たいな。
ふいにそんなことを考えてしまう。
「文化祭でやる曲って、なんてやつ?」
陵に声をかけられ意識が戻る。
「え、えっと…オリジナルの曲なの」
「オリジナル?作ったの?」
「そう!もう大変だったんだから。まだまだ練習とか大変だけど。今日も練習で集まってたんだ」
「あ、じゃあさっき一緒にいた人って部活仲間?」
「そう!さっきの…祐介って言うんだけど、祐介の家がすっごくでかくて、家にドラムあるんだよ!すごくない?部室は使える時間限られてるから、みんなが時間合う日に集まって練習してたの」
「…あー…2人で会ってたわけじゃなかったんだ」
聞き取りづらいような小さな声で陵がつぶやいた。
顔をわたしから背けるように横を向いた。