空に虹を描くまで


「いいよ!すごくいい!」

「やっぱ歌詞あると変わるな。いい感じじゃん」

「佳奈子、お前歌詞も書けんだな!すげえ」

みんなに褒められ、頬がゆるむ。

嬉しい。
これで本当に曲が出来上がった。

わたしが作ったものがこうして誰かと一緒に演奏できるなんて夢みたい。


やる、と決めた時には想像もしていなかったくらいに、作詞、そしてもちろん作曲は大変だった。

寝る間も惜しんで、ずっと机に向き合っていた。

自分じゃどうしようもなく、嫌になってしまう時もあった。


ー今まで生きてきた中で一番大変な夏休みになった。
だけど同時に、今までで一番充実した夏休みにともなった。


「文化祭まで後1ヶ月半くらいだな」

ここまでくればあとは練習あるのみ。


練習も楽しくて、みんなと会うのがいつも待ち遠しかった。


もう夏休みも終わり。

いつもなら悲しさと嬉しさが五分五分だった。

自由の時間が減ってしまう、という悲しさと、みんなに会えるという嬉しさがあった。

特に今まで部活をしていなかったから余計そう思っていたんだろう。


今年は違う。

早く始業式来ないかな?なんて心待ちにしていた。


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