空に虹を描くまで
「お、ナイスタイミング」
「ちゃんと飯食った?」
「佳奈子はあんまり」
苦笑いしながら由美が代わりに答えた。
出演前にせめてお腹を満たして体力をつけなきゃいけないというのは、分かっていたつもりだけど、どうしても緊張でご飯が喉を通らなかった。
「そんな事だろうと思って...」
祐介はかばんを探った。
「これやるよ」
そう言って手渡されたのは”翼の生える”エナジードリンクだった。
「え、いいの?」
「それなら食欲なくても食えるだろ?」
「ありがとう!」
祐介からエナジードリンクを貰うと蓋を開けて一気に口に流し込んだ。
「気がきくじゃん」
由美が祐介に肘で突いていた。