空に虹を描くまで
祐介がわたし達の真ん中に手を出した。
その上にみんな手を乗せていく。
「ほら、佳奈も」
由美にそう言われ、わたしは一番上に手を乗せた。
「んじゃ、楽しもうぜ」
祐介のその言葉と同時に思いっきり手を伸ばした。
そうだ。
自分たちが楽しまなきゃ、お客さんに楽しんでもらえるわけがない。
それに、わたしにとっては最後のショーだ。
ここまで練習してきたんだ。楽しまないと。
自信を持って演奏するんだ。
大丈夫、きっとうまくいく。
3人の後ろ姿はとてもたくましく、わたしに自信をもたせてくれた。
司会者がわたし達のバンドの紹介をした。
いよいよだ。
少しずつスポットライトの当たる煌びやかなステージへと歩き出した。