空に虹を描くまで
たった一回演奏するだけだったけど、その輝かしいスポットライトを浴びるために、裏で地道な努力をしている。
だからきっと、ステージの上は、これ以上にないくらい、素敵な場所へと変わるんだろう。
「お疲れ様」
舞台裏に行くと、先生や先輩たちがいてくれた。
「よかったよ!」
その言葉に自然の頬が緩む。
「ありがとうございます」
お礼を言って観客席の方に向かった。
もう次のバンドの紹介が終わり演奏が始まろうとしていた。
観客から見る舞台は、こんな風に見えるんだ…。
「佳奈子!」
「お母さん」
「すごくよかったわよ。あれ佳奈子が作ったんでしょ?いつの間にあんなに練習してたの?お母さん全然知らなかったから、驚いちゃって」
そう言うお母さんの目は少し、涙が溜まっている感じがした。