空に虹を描くまで
「ごめんね。ずっと黙ってて。でも、曲はわたし一人で作ったんじゃないよ。みんながいたから」
後ろを見ると、笑顔なみんなと視線があった。
「このメンバーのおかげ」
お母さんにそう伝えると、海くんがわたしの髪をまた乱暴に撫でた。
「何言ってんだよー」
そう言いながら、わたしの髪はどんどんボサボサになっていく。
だけどそんなこと気にならなかった。
海くんの元気に、いつもパワーをもらえた。
祐介のリーダーシップに、いつも安心させられた。
由美の気遣いや優しさに、いつも勇気付けられた。
このメンバーに出会えて、本当に良かった。
演奏が始まると、また観客も盛り上がり騒がしくなった。
「俺たち、この後クラスの当番だからそろそろ行くわ」
「え、そうなの?」
「あぁ、また後でな」
海くんたちはそそくさと体育館を後にした。