空に虹を描くまで
「じゃあ、お母さんは佳奈子たちの演奏も見れたし、今日はもう帰るわね」
「あ、うん。ありがとう」
「楽しんどいで」
笑顔でお母さんが言った。
誘って良かった。
一番近くでずっと支えてくれていたんだもん。
認めてほしいという気持ちももちろんあるけど、頑張ってきた成果を一番見せたい。
「よかったね」
「うん。由美もありがとね、色々」
「へ?なんのこと?」
「覚えててくれたんでしょ?わたしが前作曲してやめちゃったこと」
「え、いや…」
そう軽く否定しながら視線を泳がせていた。
それからしばらくして由美が再び口を開けた。
「佳奈が作曲で残念がっているのを側で見てきたから、なんとかしてあげたかったなっていうのはずっと後悔してたの。
だけど、理由も教えてもらったから知ってたし、またこの前みたいなことになったら余計佳奈を傷つけるんじゃないかって思って悩んだの。
それで祐介たちに相談したら、いいアイデアだってみんな賛成してくれて佳奈に頼んだの。
まー、実際作曲作りに苦戦していたのは本当だけどね」
そう言うと、由美は照れ笑いした。