空に虹を描くまで


いろんなところで、いろんなことが繋がっているんだ。


陵に出会えたこと、作曲を頼まれたこと、家族のこと、全部。


「俺、実は佳奈子に言ってないことがあるんだけど…」

「え?なに?」

「ノートを拾った時に、佳奈子のものだってわかったんだ。その時すぐに渡しにいけばよかったんだけど、印象つけたくて機会を伺ってたんだ」

「え、えぇ!?」

「んで、佳奈子が一人で教室にいるのを見て声かけたってわけ。あの時も時間がなかったからだいぶ必死だったけど」

「し、知らなかった…」

わたしだけが陵のことを知らなかったんだ。

恥ずかしさと同時に、陵の言動に嬉しくなった。



「今日さ、文化祭終わったら一緒に帰らない?」

少し照れたように、笑顔で陵が言った。

まさか誘ってもらえると思っていなかったから、驚いて言葉が出なかった。


「あ、もしかして打ち上げとかある?」

返事をしないわたしにしらを切って聞いて来た。

「ない!ないから、一緒に帰ろう!」
慌てて陵に返事をした。

「ははっ、よかった」

安心したように笑った。


それはこっちの台詞だ。


陵の笑顔を見ると、わたしもつられて笑顔になった。


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