空に虹を描くまで
「じゃあまた放課後」
陵は片手を上げ、体育館から離れて行った。
由美はそういえばどこに行ったんだろう、と視線を動かすと、端っこの方で家族と話していた。
壁にもたれて、由美の様子を見ていたら、由美と目があった。
小走りでわたしの方に来ると、「さっきの人は?」と楽しげに聞いて来た。
「もう行っちゃった」
「へぇー」
そう言いながらニヤニヤと笑う。
「家族の人とはもういいの?」
「あー、いいのいいの。邪魔しちゃ悪いだろうな、と思って離れてただけだから」
「え!?そうだったの?」
驚くわたしに由美は笑顔で答えた。
「さ、早く食べにいこう。話は歩きながら聞くね」
そんなにお腹すいてるんだろうか。
でも、もう午後だしそろそろ売り切れているかもしれない。
せっかくの文化祭だし、わたしも何か食べたい。
買ったチケットもかなり残っている。
とりあえず、由美について回り、見つけたお店で買って食べた。