空に虹を描くまで


「じゃあまた放課後」

陵は片手を上げ、体育館から離れて行った。


由美はそういえばどこに行ったんだろう、と視線を動かすと、端っこの方で家族と話していた。

壁にもたれて、由美の様子を見ていたら、由美と目があった。

小走りでわたしの方に来ると、「さっきの人は?」と楽しげに聞いて来た。


「もう行っちゃった」

「へぇー」

そう言いながらニヤニヤと笑う。

「家族の人とはもういいの?」

「あー、いいのいいの。邪魔しちゃ悪いだろうな、と思って離れてただけだから」

「え!?そうだったの?」

驚くわたしに由美は笑顔で答えた。

「さ、早く食べにいこう。話は歩きながら聞くね」

そんなにお腹すいてるんだろうか。


でも、もう午後だしそろそろ売り切れているかもしれない。

せっかくの文化祭だし、わたしも何か食べたい。

買ったチケットもかなり残っている。


とりあえず、由美について回り、見つけたお店で買って食べた。


< 247 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop