空に虹を描くまで
「今日はあの例の人と一緒に帰るんでしょ?」
「例の人って…。まあそうだけど」
「詳しくまた月曜日聞かせてね!」
「そんな、聞かせるようなことないよ」
そんなことを言いながらも、陵と一緒に帰れることを楽しみにしていた。
この文化祭が終わった今だからこそ、陵に伝えたいことがたくさんある。
…ノートを落としたことが、きっかけだったな。
なんて、陵に出会った経緯を思い返していた。
まだまだ乗り越えていかないといけない問題がたくさんある。
進路のこと、お父さんのこと。
それ以外にも、きっとこれから先、もっと大きな壁にぶち当たるだろう。
だけどきっと乗り越えられる。
そう。
今までだって、いつだってそうやって乗り越えてきたんだ。