空に虹を描くまで


わたしは飛び出るように教室から出た。

上履きを履き替えると、校門のところで陵の姿が見えた。


その姿に胸が高鳴る。


太陽の光が建物に差しかかり、オレンジ色に染まっていた。


一歩、二歩、歩くと、流れるように足を動かし陵に近づいた。


「陵!」

わたしが叫ぶと、笑顔でこっちに顔を振り向かせた。


迷ってもいい。
立ち止まってもいい。


答えはひとつじゃないんだから。

今はただ、がむしゃらに、信じて進むしかない。
きっとその道の先には光があると。


たとえ空が雲で覆われていたとしても、その後ろで太陽は必ず存在し、光を放ち続けている。





ーー広々とした空が見守る中、わたしは陵の胸に飛び込んだ。





~fin~
< 251 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop