空に虹を描くまで
わたしは飛び出るように教室から出た。
上履きを履き替えると、校門のところで陵の姿が見えた。
その姿に胸が高鳴る。
太陽の光が建物に差しかかり、オレンジ色に染まっていた。
一歩、二歩、歩くと、流れるように足を動かし陵に近づいた。
「陵!」
わたしが叫ぶと、笑顔でこっちに顔を振り向かせた。
迷ってもいい。
立ち止まってもいい。
答えはひとつじゃないんだから。
今はただ、がむしゃらに、信じて進むしかない。
きっとその道の先には光があると。
たとえ空が雲で覆われていたとしても、その後ろで太陽は必ず存在し、光を放ち続けている。
ーー広々とした空が見守る中、わたしは陵の胸に飛び込んだ。
~fin~