空に虹を描くまで
「へーそうなんだ。どこでやってるの?」
「市役所の近くだよ」
そんなところにガラス工芸なんてやってるお店があるなんて知らなかった。
市役所なんてほとんど行かないし、家からなかなか遠い。
わたしが小さいころ、ガラス工芸の体験があってお母さんが申し込んでくれたことがあった。
だけど、確かその時風邪をひいて行けなくなってしまったんだ。
それ以外は、テレビで見ただけ。
”職人技”と紹介されていて、率直に綺麗だなと思った。その時は。
「すごいね」
自然と口がそう呟いていた。
「……見に来る?」
「いいの?」
その言葉を聞いてぱっと横を見た。
そんなこと言ってくれるなんて思ってもみなかった。
本当は誘ってくれないかなー?なんて少し心の中で期待してみたけど、まさか本当に誘ってくれるなんて。
「ただ今日は定休日だからやってないんだ。いつだったら暇?」
「えーっと今週の金曜日だったらあいてるよ」
「じゃあ金曜な。店長に見学者が来るって伝えとくよ」
「ほんとに!?うれしい!ありがとう」