空に虹を描くまで
考えただけですごくワクワクした。
もうすでに金曜日が待ちきれない。
「ふふ。さっき声かけてよかった。今日は本当についてる」
声をかけただけでこんな展開になるなんて。
そう考えると笑みがこぼれた。
ノートを渡してくれた時には考えもつかなかった。
放課後再会して一緒に帰ることになるなんて。
「…もだよ」
「え?」
不意に言葉をかけられて聞き取れなかった。
「いや、なんでもねえ」
まるで聞こえていなくてよかった、とでも言うように安心した表情だった。
だけどわたしにはそんなこと気にする余裕がないほど頭がガラス工芸でいっぱいだった。
そんな浮かれた調子で歩いているといつの間にか駅に着いていた。
「かーなこー!」
遠くから名前を呼ぶ声が聞こえて振り返った。
「由美!」
由美は一緒にいた人たちを置いて走ってこっちに向かってきた。