空に虹を描くまで
「今日は練習見に来てなかったけど、何かしてたの?」
「そう、図書室で勉強してたの」
「うわ、まじめだな」
「いつものことじゃん」
由美がすかさず突っ込んだ。
「たしかにそうだな」
もう図書室でテストの何週間も前から勉強するのはわたしの習慣になってる。
そんな他愛もない会話をしてわたしたちはそれぞれの電車に分かれた。
由美とわたしは同じ駅で家も近所。
親同士も仲良くて家族ぐるみの付き合いをしている。
駅に着くと、仕事帰りで待っていてくれた由美のお母さんの車に乗って家まで送ってもらった。
こんなこと滅多にないんだけど、たまに下校の時間と会えば乗せてくれる。
「ありがとうございました。また明日ね」
お礼を言って由美に別れを告げた。
駅からわたしの家よりも少し遠い由美たちは、わたしを下した後、勢いよく車で進んでいった。