空に虹を描くまで


お母さんやお父さんはわたしがこんなに余裕を持って、朝起きてきたことに驚いていた。

「今日何かあるの?」
お母さんが聞いてきた。

「まあね」
椅子に腰かけ朝からニュースを見ながら朝食を食べた。

それでもまだ時間は余っている。

「コーヒーでも飲もうかな」
お父さんをまねて一緒にコーヒーを飲んだ。

普段はそんなことする暇がないほど、朝は慌てている。


「いってきまーす」

お父さんの後に続いて家を出た。

こんなに早く家を出たの入学式以降かも。

いつも時間ギリギリに家を出て、信号待ちでイライラして、電車に間に合わないと思い走ってあの満員電車で暑い思いをしながら息を整える。

初めのころはそうでもなかったけど、慣れてくるとどんどん起きる時間もずれていって、朝を適当に過ごすようになっていった。


不意に少し離れたところから鳥の泣き声が聞こえ顔をあげた。

声のする方へ近づき見てみると、家のガレージの上に巣を作っていた。

今まで歩いてきた道なのに、こんな所に巣があるなんて知らなかった。

なんだか心が温かい気持ちになった。



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