空に虹を描くまで



いつもより少し早く家を出ただけでこんな得した気持ちになれるなら、一石二鳥だ。


時間に余裕を持つことで、こんな優雅なひと時を過ごせるなんて。


学校に着き、椅子に座ってぼーっとしていると由美が教室に入ってきた。

「あれ?佳奈、おはよう。ずいぶん早いんだね」

「そうなの。今日は早く目が覚めちゃって」

「へー、珍しいこともあるもんだね」

少し馬鹿にしたように笑うと始業のベルが鳴り由美は自分の机へと向かっていった。


わたしの高校は全部で6クラスある。

いつも体育は2クラスずつ行われていて、隣のクラスの6組と合同で授業を受けている。

だから、6組にはあの例の人がいないことはわかっている。


昨日、3組と4組が体育をしているのが窓から見えた。

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