空に虹を描くまで
「ねえ、少し休憩しない?見てるばっかりも疲れるでしょう?」
梓さんがわたしに囁いた。
確かに、長時間ここでじっと座って見ているのは大変だった。
何より暑くて、サウナに居座っている感じ。
でも、梓さんにそう言われるまで全く気にならなかった。
わたしが返答に困っていると、梓さんが「さ、行こう」と返事をする前に言った。
もしかすると、梓さんも見ているのが疲れたのかもしれない。
静かに椅子を引き、梓さんの後についてガラス工房から出た。
「はー!やっぱり外は気持ちいいね」
そう言いながら、梓さんは手を空に伸ばした。
「そうですね」
わたしも思いっきり息を吸い込んだ。
外に出ると開放された感じで心地よく感じた。
「はじめに陵ちゃんとお店の方に行ったのよね?」
「はい。少しだけ店内見ました」
「2階にちょっとした休憩所あるから、そこに行きましょ」
わたしたちは店内に入ることなく、裏口からそのまま2階に上がった。
階段の壁には、写真やガラス玉が飾られていてガラス工房とは別空間だ。
2階もとてもお洒落で、1階のお店と同じ壁紙で統一されていた。
カフェでも開いてるのか、と思うくらいに観葉植物やテーブルが綺麗並べられていた。