空に虹を描くまで
「陵ちゃんもかっこよかったでしょ?」
梓さんのその言葉で、陵の姿が目に浮かんだ。
「凄かったです。同い年なのに、あんなに真剣に取り組めることがあって…」
そう言うと同時に、わたしには取り柄が一つもないんだと思わされた。
その様子を見た梓さんは気を遣うように優しく声を掛けてくれた。
「佳奈子ちゃんにはないの?何かやっていることとか」
「習い事はしてますけど、趣味程度だし...」
「わたしはそれでもいいと思うわよ」
予想外の言葉で驚き、ぱっと梓さんを見た。
梓さんは続けた。
「それに、案外簡単に見つかるかもよ?」
「え?」
「誰かに相談したら以外とぱっとくる答えを出してくれるかもよ?他人だから相手のことに気づけるってこともあると思うし」
「他人...ですか?」
「そう。仲のいい友達とか、ご両親とかね」
家族や友達。
そういうものなんだろうか?