空に虹を描くまで


急に足音が聞こえて、扉を見た。

「あ、陵ちゃんたちかな?」


少しずつ足跡が大きくなって、扉が開いた。


陵とおじさんが部屋に入ってきて、陵はわたしの横に座った。


「お、お疲れ様」

無視はよくないかな、と思いつつもなんて声をかけたらいいか分からずとりあえず、そう言った。


「サンキュー」

少し微笑んで答えた。


「待ってて、今飲み物持ってくるね」

梓さんが部屋の奥へと入っていき、飲み物を持ってきた。


「ども!」
おじさんはコップを手に取り、一気に口に流し込み、「ぷはーっ」と言って一息ついた。

「お!クッキーもあんじゃん」
手に数枚のクッキーを取り、さらに口に詰め込んだ。

そんなに食べてのどに詰まらせないのだろうか?

傍から見ていて、それが一番心配だった。


「もう!佳奈子ちゃんのために作ったのに」

梓さんがため息をつきながら漏らした。


「あ、陵ちゃんも食べてね」

そう言われると、陵もクッキーを口に含み、「うまっ」と呟いた。





< 64 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop