空に虹を描くまで
急に足音が聞こえて、扉を見た。
「あ、陵ちゃんたちかな?」
少しずつ足跡が大きくなって、扉が開いた。
陵とおじさんが部屋に入ってきて、陵はわたしの横に座った。
「お、お疲れ様」
無視はよくないかな、と思いつつもなんて声をかけたらいいか分からずとりあえず、そう言った。
「サンキュー」
少し微笑んで答えた。
「待ってて、今飲み物持ってくるね」
梓さんが部屋の奥へと入っていき、飲み物を持ってきた。
「ども!」
おじさんはコップを手に取り、一気に口に流し込み、「ぷはーっ」と言って一息ついた。
「お!クッキーもあんじゃん」
手に数枚のクッキーを取り、さらに口に詰め込んだ。
そんなに食べてのどに詰まらせないのだろうか?
傍から見ていて、それが一番心配だった。
「もう!佳奈子ちゃんのために作ったのに」
梓さんがため息をつきながら漏らした。
「あ、陵ちゃんも食べてね」
そう言われると、陵もクッキーを口に含み、「うまっ」と呟いた。