空に虹を描くまで
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「あら、もうこんな時間」
梓さんがそう言って時計を見るともう8時を回っていた。
ここに来たのがだいたい16時頃。
もう4時間もここにいたんだ。
あっという間だった。
「どうする?また今度取りに来る?住所言ってくれたら郵送で送ることもできるよ?」
「ありがとうございます。また来ていいですか?」
またおじさんや梓さんに会ういい口実にもなるし、お店もゆっくりまた来たい。
だから、わたしにとっては取りに来ることは面倒というより、むしろ用事ができてラッキーだ。
わたしは梓さんとおじさんにそう伝え、帰る準備をした。
「ちょっと待ってて、車だしてくるよ」
テーブルの上においてあった鍵を取って立ち上がった。
「あ、大丈夫です。帰りは電車で帰ります」
迎えに来てもらって、さらに送ってもらうのはさすがに気が引ける。
「いや、でも」
おじさんは否定しようとしたけど、梓さんが遮った。
「じゃあ、陵ちゃんに任せよう!それなら安心でしょ?」
「おー、そりゃグッドアイデーアだな」
おじさんは満面の笑みを浮かべて賛成した。