空に虹を描くまで
「ね!ちょうどいいじゃない。陵ちゃんも帰るんだし、若い者同士ね」
「それがいい、それがいい」
わたしと陵は会話に入らず、2人で何故か盛り上がっていた。
ちらりと陵を見ると、まるで「こうなったらどうすることもできない」とでも言うように肩をあげた。
おじさんたちはまだその会話を続けていて、それ以上は断るな、っていう雰囲気だったから「お願いします」と陵に頭を下げた。
「じゃあ、待ってるわね!」
「いつでも来ていいからな。陵もほぼ毎日来てるし、また一緒に来ればいいよ」
「はい!今日は本当にありがとうございました。とっても楽しかったです」
わたしは深々と頭を下げた。
また楽しみが一つ増えた。
完成するのが楽しみだし、また2人にも会いたい。
2人に見送られわたしたちはお店を後にした。
もうすかっり日は落ちて、街灯や建物から漏れる光がわたしたちの歩く道を照らしてくれた。
「今日は誘ってくれて本当にありがとう」
わたしがお礼を言うと、陵は微笑んで答えた。
「喜んでくれてよかった。俺も誘った甲斐があるよ」
滅多に体験できない貴重な経験をさせてもらった。
梓さん、おじさん、もちろん陵にも出会えてよかった。