空に虹を描くまで


つい数日まで陵のことを知らなかったとは思えない。

それに、こんな体験ができるなんて思ってもみなかった。


陵の頑張っている姿を見て、すごく自分が情けなく思えたのは確かだけど、勇気をもらえたのも事実。


わたしも頑張らないと、ってそう思えた。


まだ遅くない。


卒業まであと1年半。

1年半しかない、って考えれば少ないと思うかもしれないけど、あと1年半もあると考えたら余裕はないけど、時間はある。


精一杯やろう。

自分でちゃんと考えないと。

自分の未来だから、将来何をしたいか真剣に考えよう。


「行くとき、また誘ってくれる?」

「ああ。次はいつ暇?」

「んー、来週の火曜と木曜はバイトないから大丈夫!」

「俺はどっちでもいいよ」


「じゃあー…」

そう言って考えた。

出来れば授業が早く終わる日の方がいいよね。

時間に少し余裕がある方が、わたしも安心するし。


「じゃあ、火曜日は?」

「オーケー。じゃあ、今度は俺が迎えに行くから」
陵が微笑んで言った。

「あ、ありがとう」

そうだよね、今日みたいにすれ違いになっても大変だし。




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