空に虹を描くまで


ーー
日曜日の夜カップケーキを作った。

色々お世話になったお礼に、何かしたいなとあれからずっと考えていた。

梓さんがクッキーを焼いてくれたから、それならわたしもと、結局お菓子を作ることにして、同じクッキーだと面白くないからカップケーキにしてみた。

クッキーの方が自信はあったんだけど。



普段は休みの日でもお菓子を作ったりすることはない。

バレンタインデーでも、わたしはいつも市販の商品を買う派だ。

お母さんに作り方を聞くと、目を丸くして驚いていた。

「誰かにあげるの?」

「そうだよ」

「へー」
そう言いながらニヤニヤしだした。

その表情からお母さんが何を言いたいのか大体察しがつく。


「そんなんじゃないからね!」

お母さんが変なこと考えないように、わたしは念を押した。


完成したカップケーキをお父さんにあげると「うまい!」って喜んでくれたから、味は大丈夫だと思う。

手作りものだけじゃ少し物足りないなと思い、百貨店で手土産も買った。


< 71 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop