空に虹を描くまで
途中、静かな間がいくつかあったけど、不思議と気まずい雰囲気ではなかった。
何か喋らなきゃとか、そういう感じは一切なく、その無言の間も居心地が良かった。
男子と二人で帰ることなんて今までほとんどなかった。陵とが初めてだ。
下校途中、二人しかいないという緊張と少し恥ずかしい気持ちと、だけどまだこのままでいたいという想いと、色々な感情が混ざり合っていた。
今までにない感じたことのない、なんとも言えない異様な感覚。
だけど全く苦ではなかった。
むしろ、心が暖かくなるような、そんな感じ。
30分以上一緒にいたけど、それ以上の時間が流れているように感じた。
だけど、その時間はあっという間にも感じた。
30分も一緒にいたとは思えないほど一瞬で時が過ぎていったんだ。
なんなんだろう。この感じ。
ほんとうに不思議な感じ。
由美や他の友達と歩くのと、時間の流れ方が違う。
何故そう感じたのか、悩めば悩むほど頭が混乱する。
一向に解決には進まないまま、気がつけばガラス工房に到着していた。