想い心と罪心【短編】
「………」
沈黙が流れる。
まあ彰斗は割りと無口だし私が話さなきゃ会話もないよね。
「肩」
「へ?」
予想外に彼が口を開いたため、動揺して声が裏返る。
「濡れてる」
そう言って、私の肩を指差す。
キュンッ。
これって心配してくれてるんだよね。
ヤバい、嬉しすぎる。
「大丈夫だよ。それに彰斗の方がびしょ濡れじゃん」
微笑しながら彼の濡れた顔に手を伸ばそうとすると、彰斗はその手をよけ、傘から出てしまった。
「俺はもう濡れてるからいい。咲がさしてなよ」
「でも………」
「気にしないでいいから」
そう言って彼は歩きだす。
これって……愛されてるって思っていいのかな?