想い心と罪心【短編】
思わず顔がニヤけてしまう。
さりげない優しさ。
もう彰斗大好きっ。
でも、彰斗が風邪ひいたら困るし入れてあげよ。
いつの間にか100メートルくらい先まで進んでしまっている彰斗。
はやっ。
まつきないのかよ。
「あき…………」
私が駆け出し、彼に声をかけたそのときだった。
「彰斗くん」
誰かが横から飛び出してきた。
「すごい濡れてる。だから私の傘に入ってけば良かったのに」
そう言って女の子は彼を自分の傘の中にいれた。
3メートル先で起こっている光景に声が出ない。
誰?その子。
何でその子の傘には黙って入ってるの?
よく見ると、その子はさっき校門の前で彰斗の横にいた子。
その子は私に気づいたのかこっちを見て目を見開いた。