想い心と罪心【短編】
もう、やだよ。
何、浮気してんのよ。
バカ。彰斗のバカ。
「彰斗のバーカ!!」
「俺ってバカなの?」
大声で叫んだとき、背後から声が聞こえ、思わず振り返る。
「俺ってバカだったんだ」
木の影から出てきたのはやっぱり彰斗で私の心臓は大きく脈を打った。
「あ…きと。何で……」
「あれ咲……」
彼の手が私の頬に触れる。
「泣いてる」
そう言って彼の唇が私の涙の跡をたどった。
私はびっくりしすぎて声もでず、ただ目の前で起こることに目を丸くしていた。
「なっ」
「しょっぱい」
ようやく自覚した私が頬を真っ赤に染める。
胸のドキドキが止まらない。
彰斗は何をしてるの。
私のこと、まだ好きなの?