想い心と罪心【短編】
ってかこんなところに自動販売機あるなんて気づかなかった。
「彰斗」
ん?っと彼がこっちを向く。
「ありがとう」
「うん」
やっぱり眠そうな彰斗。
さっきの甘い空気なんてなかったみたい。
私はまだドキドキしてる。
彰斗ばっか余裕で、私だけが動揺してるなんて、なんか悔しい。
恋は惚れた方が負けっていうけど、確かに今すごく敗北感がある。
ドキドキし過ぎて呼吸困難になりそうだよ。
もしこれで私が死んだら彰斗は犯罪者だ。
でも、私が想うからこそ彼の行動が罪なんだよね。
いつの間にか雲の切れ間から青空が顔をだし、天の恵も尽きていた。
彰斗、見てなさい。
いつかその眠そうな目が閉じれないくらい、私に夢中にさせるから。
想った分だけ罪になる。
罪の分だけ想わせる。
雨上がりの空がとても綺麗に見えた、そんな帰り道。