想い心と罪心【短編】
「ほら、噂をすれば校門に彰斗くんいるよ」
ちらっと窓から校門を見る。
ほんとだ。
彰斗私のこと待ってる。
校門は私たちの待ち合わせ場所。
3年の教室の前は来にくそうだから、私が校門って指定したの。
校門から彼のバイト先までが、私たちの帰り道のルート。
「行かなくていいの?」
朋ちゃんが、ニヤニヤしながら私を見つめる。
「いいのっ。別に今日は約束してないし」
窓から見える彼から目を離す。
そうだよ。
いつも一緒に帰るけど、それは私が毎日『一緒に帰ろ』ってメールしてるからだし。
今日は約束してないんだから、待ってる彰斗が変なんだよ。
「それに、バイトの時間になったら一人で行くでしょ」