想い心と罪心【短編】
「あっ」
30分くらいたったころ、朋ちゃんが小さく声をもらした。
「雨降ってきたよ」
彼女の目線をたどり、私も空を見る。
そこからはポツポツとまだ小さな雨が降ってきていた。
「大丈夫かなぁ?」
「う~ん。でも私、傘持ってるから大丈夫」
「そうじゃなくて」
スッと、朋ちゃんの指が校門へと向かう。
「彰斗くん。女の子の傘のなか入ってるよ」
えっと思い、私も校門を見る。
よく見えないけど、彰斗が女の子の傘のなかに入っているのは分かる。
何してんの?
誰なのその子。
胸の中が嫌な気持ちで一杯になる。
私は廊下側の席に移動し彼の姿の見えない場所に座った。