想い心と罪心【短編】
私も自分の傘を開き、少しずつ歩き出す。
何でいるのよ。
校門が近くなる。
前方にいる彼はびちょびちょに濡れている。
何で待ってんのよ。
バイトは?
さっきの子に傘借りなかったの?
考えても考えても分かんなくって、分かるのは私と彰斗がどんどん近くなっているってことだけ。
もうそこってとこで、後ろから震える口をこじ開けて話しかけた。
「何してるの?」
声をかけると、いつものように眠そうな顔で私の方に振り向いた。
「あ………来た」
短い言葉に短い会話。
いつだってそう。
私が話さなきゃ、会話なんて成立しない。
「バイトは?」
「………今何時?」
彼の前に携帯のディスプレイを見せる。