【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
アルフレッドが隣に座り、え?と思う間もなく腕を取られて抱き寄せられ、シルディーヌは身動きができなくなった。
「団員は紳士ばかりじゃないんだ。もしもこうされたらどうする?」
どうすると聞かれても咄嗟になにもできず、うろたえるばかりだ。
頑張って胸を押してみるが、腕が緩む気配がない。
「どうだ。男の力は強いだろう」
ピンクブロンドの髪にアルフレッドの息がかかり、それがとても熱い気がする。
胸の鼓動が聞こえそうなほどに密着していて、シルディーヌの胸が高鳴り始めた。
動こうとすればさらに強く抱きしめられ、囁くように問いかけてくる。
「抜け出せないだろ? さらに、こうされるかもしれないぞ?」
顎に触れてきた指先に上を向かせられ、視界のすべてがアルフレッドで埋まった。
顔がすごく近い。見つめてくる夏空のように青い瞳は、さっきまでよりも優しく見えて、シルディーヌの胸がとくんと鳴る。
アルフレッドは親指でシルディーヌの唇にそっと触れながら、耳に唇を寄せてきた。