【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
ペペロネはどちらかと言えばふくよかな体型。
胸もおしりもプリンとしていて男好きのするスタイルをしている。
細身で胸があまり大きくないシルディーヌにはとてもうらやましいが、本人はぽっちゃり体型だととても気にしているようだ。
「違うわ。今日は、た~くさんお掃除したから、特別お腹が空いてるのよ」
「ね、シルディーヌ? 昨日は聞きそびれちゃったけど、黒龍殿の中ってどんな感じなの?」
キャンディが興味津々な様子で尋ねると、みんなの視線がシルディーヌに集まった。
たいていの貴族侍女が恋をしてしまうという噂の黒龍騎士団員の集まる本部。
興味があるのは、黒龍殿というよりも団員たちだろうか。
「黒龍殿の中は……そうね……」
どんなところか簡単に言ってしまえば、『むさくるしい男の巣窟』で『害虫もいる怖いところ』なうえに『騎士団長は超ドS』の三つになる。
けれども、キャンディたちのキラキラしている瞳を見ると、そのままズバリと話してしまうのはなんだか気が引ける。
だって、団服を着て帯剣した騎士たちは、確かに凛々しく見えるのだから、むさくるしさを語るのは夢を壊しそうだ。
考えた末に、ひとりだから掃除が大変なことを当たり障りなく話していく。
例の黒いアレが出たことは、さすがに内緒だが。