幼馴染は関係ない
24話
「ねぇ、今、北海道に住んでるの?」
「花音とずっと連絡取ってたの?」
「彼女は?」
と新君は訊かれている。
その時、男性陣が、
「まぁまぁ、中元と話したいのはわかるけど、とりあえず乾杯しないか?」
と話を止めた。
そして、乾杯をした。
竜生はまだ姿を現していない。
「なぁ、下村、竜生は?」
「えっと・・・どうしたんだろうね?」
私は曖昧に答える。
「今日は一緒じゃないのか?」
「そういえば、下村と中元って一緒に来てたもんな。 竜生は?」
まるで私と竜生がセットの様に話し始める。
その時、
「あのさ、さっき訊かれた 『彼女は?』っていう質問の答えなんだけど・・・」
新君は急に声のボリュームを上げ、私の隣に立った。
そして、
「花音と付き合ってるんだ」
と言ってくれた。
すると、その場は沈黙してしまった・・・。
えっと・・・誰も何も言葉を発しないのは何故?
やっぱり、私と新君じゃ似合わないって思うから?
なんだか悲しくなっちゃうな。
「え・・・」
困惑の声をあげ、驚いた表情の女性陣。
「は? 竜生は?」
と訊いてくる男性陣。
そこで竜生関係ある!?
「竜生!? 竜生が何?」
私は訊き返してしまう。
「だってよ~・・・竜生と下村って・・・」
「何?」
「付き合ってるんじゃ?」
「え?」
何ビックリ発言してきてるの?
「ハッキリそう聞いた訳じゃないけど、いつだって竜生は下村の話を楽しそうにしてたし・・・」
楽しそうに? 想像できないけど・・・。
「そう、そう。 何かって言えば、『花音に手ぇ出すな』って威嚇してきてたし」
次々新事実発覚・・・竜生ったら、私の居ないところで何を話していたんだろう?
「そうだよな?」
そう言い合う男性陣に私は、
「竜生には彼女が居たでしょ!?」
と、反論してしまう。
竜生が私を好きだったと本人から言われた。 今の皆の話からもそれは嘘ではないと思う・・・だけど、竜生に『好きだ』と言われた事実を同級生に教えるつもりは無い。
そんな事を教えたら、竜生にとっては恥だろうし、私だって 振った男の話を言いふらす最低な人間になってしまう。
「確かにいつも綺麗な彼女いたけど・・・どう見ても本気って感じじゃなかったよな?」
「下村と学校が離れてるから手近なので済ませてるって感じが見え見えだったよな?」
などと言い合っている男性陣。
竜生が初めて彼女を作った中学生の時は私も一緒の学校だったんですけど・・・。
矛盾してるって思うのは私だけなの?
それに、そんな感じで女性と付き合っていた竜生に何も感じないの?
私は『最低』って思ったのに!?
「昨日だって、成人式の会場や飲み会に一緒に来てただろ?
ついに付き合いだしたのかって皆思ってたんだぞ?」
はぁ~!?
「そうだよ! 花音て今まで男っ気無かったし、そのうち竜生君と付き合うんだと思ってたんだよ?」
と女性陣にまで言われてしまう。
ついていけない・・・。
黙って聞いていた新君は、
「僕と花音は高校1年生の時から付き合ってるんだ」
と言った。
「えっ!?」
「はぁ!?」
皆から驚きの声。
「その後、高校2年になる年に僕が父の仕事の関係で北海道に引っ越して、でもずっと付き合い続けてるんだ。
花音と上尾君は幼馴染で、それ以上の関係になったことは一度も無いんだよ?」
新君はにっこりほほ笑む。
そして、
「そっか、花音に男の影が無いってハッキリして、なんだか安心したな~。
誤解されてた上尾君とは何もないって僕も知っている事だし」
とおどけた様に明るく新君は言った。
その言葉に皆の表情は固まる。
これ以上、私と竜生のことを変な風に勘繰るな。と言っているみたいだから。
それから盛り上がる事もなく、飲み会は終了。
最後まで竜生は顔を出さなかった。
その事実は少なからず、私が竜生を裏切っていたのではないか?と、友達に印象付けてしまっただろう。
まるで私が二股をかけていた。という印象。
実際のところ、私はずっと新君一筋だし!
竜生の方が私を好きだと思いながら違う女性と付き合っていたのだから私が悪く言われる筋合い無いと思うんだけど・・・。
「みんな竜生の味方だったね・・・新君、嫌な思いしたんじゃない?」
私は新君に訊く。
「上尾君はさ。 みんなの前では結構素直に花音のこと話してたんだね?」
「え?」
「花音にもそういう態度取っていたら・・・僕と花音は結ばれてなかったのかな?」
「え?」
どうして?
「だから、間違った態度をとり続けてくれた上尾君には感謝してる。 みんなに言われた事なんて気にしてないよ」
新君はそう言うけれど、誰一人として祝福してくれなかった。
私はじわりと目が潤んでしまう。
「竜生が優しくても・・・私はやっぱり新君に出会ったら新君を好きになっていたと思う」
「花音・・・ありがとう」
「本当だよ?
・・・今日会った友達とはね。 時々しか連絡取って無かったけどそれでも友達だと思ってたの」
「うん?」
「私がきちんと、新君と付き合ってるって話をしていたら、竜生との仲を勘違いされることも無かったよね?
今日だって、『花音の彼氏の新君と会うの楽しみ~』って素直に思ってもらえたと思う・・・。
でも 新君と付き合いだした事を隠した時点で、私は皆の事 本当は心の底から信じられる友達とは思って無かったのかも・・・」
自分に自信が無かったから隠してしまった。
私と新君は似合わないと友達の口から言われるのが恐かった。
・・・その所為で新君にまで嫌な思いをさせてしまったんだ。
「・・・花音はこれから友達との付き合い難しくなる? 大丈夫?」
「みんなとは会い辛いよ・・・だって、私からも竜生からも『好き』だなんて言ってないのに、勝手に二人は付き合ってるみたいに思われるのはやっぱり納得できない。
みんなの方が勝手だと思う・・・」
「うん、そうだね。 でも、僕は今日ハッキリとみんなに伝えられて良かったと思ってるよ」
「ごめんね。 私が本当は言わなくちゃいけなかったのに・・・」
「気にしなくていいよ。 僕と付き合ってるって自慢する様な人だったら、多分 僕は花音を好きになっていないから」
・・・新君は自分が自慢に値する人間だという自覚がある。
そんな人が私を選んでくれたんだ。
「花音とずっと連絡取ってたの?」
「彼女は?」
と新君は訊かれている。
その時、男性陣が、
「まぁまぁ、中元と話したいのはわかるけど、とりあえず乾杯しないか?」
と話を止めた。
そして、乾杯をした。
竜生はまだ姿を現していない。
「なぁ、下村、竜生は?」
「えっと・・・どうしたんだろうね?」
私は曖昧に答える。
「今日は一緒じゃないのか?」
「そういえば、下村と中元って一緒に来てたもんな。 竜生は?」
まるで私と竜生がセットの様に話し始める。
その時、
「あのさ、さっき訊かれた 『彼女は?』っていう質問の答えなんだけど・・・」
新君は急に声のボリュームを上げ、私の隣に立った。
そして、
「花音と付き合ってるんだ」
と言ってくれた。
すると、その場は沈黙してしまった・・・。
えっと・・・誰も何も言葉を発しないのは何故?
やっぱり、私と新君じゃ似合わないって思うから?
なんだか悲しくなっちゃうな。
「え・・・」
困惑の声をあげ、驚いた表情の女性陣。
「は? 竜生は?」
と訊いてくる男性陣。
そこで竜生関係ある!?
「竜生!? 竜生が何?」
私は訊き返してしまう。
「だってよ~・・・竜生と下村って・・・」
「何?」
「付き合ってるんじゃ?」
「え?」
何ビックリ発言してきてるの?
「ハッキリそう聞いた訳じゃないけど、いつだって竜生は下村の話を楽しそうにしてたし・・・」
楽しそうに? 想像できないけど・・・。
「そう、そう。 何かって言えば、『花音に手ぇ出すな』って威嚇してきてたし」
次々新事実発覚・・・竜生ったら、私の居ないところで何を話していたんだろう?
「そうだよな?」
そう言い合う男性陣に私は、
「竜生には彼女が居たでしょ!?」
と、反論してしまう。
竜生が私を好きだったと本人から言われた。 今の皆の話からもそれは嘘ではないと思う・・・だけど、竜生に『好きだ』と言われた事実を同級生に教えるつもりは無い。
そんな事を教えたら、竜生にとっては恥だろうし、私だって 振った男の話を言いふらす最低な人間になってしまう。
「確かにいつも綺麗な彼女いたけど・・・どう見ても本気って感じじゃなかったよな?」
「下村と学校が離れてるから手近なので済ませてるって感じが見え見えだったよな?」
などと言い合っている男性陣。
竜生が初めて彼女を作った中学生の時は私も一緒の学校だったんですけど・・・。
矛盾してるって思うのは私だけなの?
それに、そんな感じで女性と付き合っていた竜生に何も感じないの?
私は『最低』って思ったのに!?
「昨日だって、成人式の会場や飲み会に一緒に来てただろ?
ついに付き合いだしたのかって皆思ってたんだぞ?」
はぁ~!?
「そうだよ! 花音て今まで男っ気無かったし、そのうち竜生君と付き合うんだと思ってたんだよ?」
と女性陣にまで言われてしまう。
ついていけない・・・。
黙って聞いていた新君は、
「僕と花音は高校1年生の時から付き合ってるんだ」
と言った。
「えっ!?」
「はぁ!?」
皆から驚きの声。
「その後、高校2年になる年に僕が父の仕事の関係で北海道に引っ越して、でもずっと付き合い続けてるんだ。
花音と上尾君は幼馴染で、それ以上の関係になったことは一度も無いんだよ?」
新君はにっこりほほ笑む。
そして、
「そっか、花音に男の影が無いってハッキリして、なんだか安心したな~。
誤解されてた上尾君とは何もないって僕も知っている事だし」
とおどけた様に明るく新君は言った。
その言葉に皆の表情は固まる。
これ以上、私と竜生のことを変な風に勘繰るな。と言っているみたいだから。
それから盛り上がる事もなく、飲み会は終了。
最後まで竜生は顔を出さなかった。
その事実は少なからず、私が竜生を裏切っていたのではないか?と、友達に印象付けてしまっただろう。
まるで私が二股をかけていた。という印象。
実際のところ、私はずっと新君一筋だし!
竜生の方が私を好きだと思いながら違う女性と付き合っていたのだから私が悪く言われる筋合い無いと思うんだけど・・・。
「みんな竜生の味方だったね・・・新君、嫌な思いしたんじゃない?」
私は新君に訊く。
「上尾君はさ。 みんなの前では結構素直に花音のこと話してたんだね?」
「え?」
「花音にもそういう態度取っていたら・・・僕と花音は結ばれてなかったのかな?」
「え?」
どうして?
「だから、間違った態度をとり続けてくれた上尾君には感謝してる。 みんなに言われた事なんて気にしてないよ」
新君はそう言うけれど、誰一人として祝福してくれなかった。
私はじわりと目が潤んでしまう。
「竜生が優しくても・・・私はやっぱり新君に出会ったら新君を好きになっていたと思う」
「花音・・・ありがとう」
「本当だよ?
・・・今日会った友達とはね。 時々しか連絡取って無かったけどそれでも友達だと思ってたの」
「うん?」
「私がきちんと、新君と付き合ってるって話をしていたら、竜生との仲を勘違いされることも無かったよね?
今日だって、『花音の彼氏の新君と会うの楽しみ~』って素直に思ってもらえたと思う・・・。
でも 新君と付き合いだした事を隠した時点で、私は皆の事 本当は心の底から信じられる友達とは思って無かったのかも・・・」
自分に自信が無かったから隠してしまった。
私と新君は似合わないと友達の口から言われるのが恐かった。
・・・その所為で新君にまで嫌な思いをさせてしまったんだ。
「・・・花音はこれから友達との付き合い難しくなる? 大丈夫?」
「みんなとは会い辛いよ・・・だって、私からも竜生からも『好き』だなんて言ってないのに、勝手に二人は付き合ってるみたいに思われるのはやっぱり納得できない。
みんなの方が勝手だと思う・・・」
「うん、そうだね。 でも、僕は今日ハッキリとみんなに伝えられて良かったと思ってるよ」
「ごめんね。 私が本当は言わなくちゃいけなかったのに・・・」
「気にしなくていいよ。 僕と付き合ってるって自慢する様な人だったら、多分 僕は花音を好きになっていないから」
・・・新君は自分が自慢に値する人間だという自覚がある。
そんな人が私を選んでくれたんだ。