幼馴染は関係ない
4話
新君とは毎日の様に電話した。
新君が綺麗だと思った風景の写メも頻繁に届く。
それが私の楽しみ。
ある日、私は休日に本屋に行った。
夕方に本を抱えて帰ってくると、竜生と、ミニスカートの女の子が二人で向こうから歩いて来た。
竜生の家からの帰りかな?と思った。
・・・ここは、知らん顔した方がいいよね?
家は同じマンションの同じ階だけど、別に仲良しって訳じゃないんだし。
学校だって違うから、彼女と今後会うこともないんだから挨拶なんて必要ないし。と思っていると、竜生が私を嫌そうな顔で見て、
「お前、本屋行ってたの?」
と話しかけてきた。
「うん・・・竜生はデートなんだね?」
隣の彼女に会釈して挨拶した。
すると彼女は嬉しそうに、
「もしかして幼馴染の花音ちゃん!?」
と訊いてきた。
私が頷くと、
「なんだ~、本当にただの幼馴染だったんだ」
と呟いた。
どういう意味?
「え?」
「幼馴染だって言ってるけど、実は付き合ってる?とか勘ぐってたから」
と彼女は笑った。
・・・おかしな事を言う人だな。と思った。
自分が竜生の彼女なのに、私と竜生が付き合ってるって思うなんて・・・。
私が困惑していると、竜生は、
「花音に変な事吹き込むな。 ほら、行くぞ!」
と彼女の腕を取って歩き出す。
「ごめんごめん。 そんな怖い顔しないでよ~」
彼女が竜生の頬を撫でた。
おぉ、今時の女子高生は積極的ですな?なんてオッサン発想をしてしまった。
・・・だって、私は人前で新君に触れるのは凄く凄く勇気がいる事だったから。
手を繋いだり、腕を組む時・・・私がこの人に本当に触れてもいいの?なんて思ってしまっていた。
それに、周りからの視線も痛かったし。
平凡な私が新君みたいなハーフの様なイケメンに なに触ってんの!? という視線をいつも受けていた。
それでも、新君から一身に受けた愛情を私は信じられたから、周りの目なんか気にしないもん!という気持ちを表に出し、遠慮する気持ちを打ち消して、いつも新君と手を繋いでいた。
・・・新君とこんな風に物理的に離れてしまうなら、竜生に何を言われてもいいから、もっと新君をうちに呼んでおけばよかった。
私の部屋に新君との思い出をもっともっと残して行って欲しかった。
彼女と竜生の姿を見ながら、新君を思い出して寂しくなってしまった。
夏休み少し前、新君から、お盆に数日こちらへ戻ってくると電話があった。
新君の家のお墓はこっちにあるからお墓参りに家族で帰るよって。
私は早くその日にならないかな~とウキウキ。
新君から毎日電話は来るけれど、新君が他の人の事を好きになるんじゃないかって不安だった。
だけど、会って新君の顔を見ることができたら、その不安が少なくなるんじゃないかな?って思っている。
竜生は相変わらず時々我が家にやってくる。
玄関ドアを開け、
「お前バカだろ? ちゃんと誰か確認してドア開けろ!」
と過去何度も叱られた。
確認して竜生だって分かったら居留守するっていう選択肢はOKなの?と訊きたくなる。
そんな事言うと竜生は自分の友達に私の話題を振ってくれなくなるし、私にも教えてくれなくなるだろうから言わないけど。
いくら口喧嘩しようと、忘れた頃に竜生は我が家へ来る。
さすが幼馴染。
明確な仲直りとか謝罪なんてお互いにしたことが無いような気がする。
竜生と同じ高校に通っている小・中の同級生で私の話題が出ると、
「たまに花音に連絡してやったら?」
とか、竜生は言ってくれるらしい。
その後、女子からはメールをもらったりする。
それがとても嬉しい。
学校が違うと遠慮してメールさえ頻繁に送ることはできなくなってしまっているから。
だから竜生から、アイツに彼女ができた。とか、あの子に彼氏ができた。あの子が結構なイケメンを振った。とか情報を教えてもらうのも実は楽しかったりして・・・。
最後に、「お前には彼氏なんてできてないだろうけどな!」と鼻で笑われてしまうんだけど。
「彼氏、ちゃんといます!」と言えない自分が情けない。
今さら新君と付き合ってるって言っても、きっと、
「遠恋で騙されてんだろ?」
と心無い言葉を言われるだけだろうって簡単に想像できちゃうし・・・。
久々に竜生が我が家に来た。
リビングのソファーにどかりと座った竜生は、「コーヒー」と一言。
私はいつも通りにコーヒーとお菓子を竜生の前に置く。
「花音、お前夏休みの予定は?」
「バイトするんだ」
「お前がバイト? 結局、迷惑かけるんだろ?」
と竜生は意地悪顔で笑う。
「そこは、やってみないと分からないけど・・・」
「どこで?」
「え?」
「バイト、どこ?」
「あ~・・・うん、竜生は知らない所だと思う」
「は? コンビニとかファミレスとかじゃないのか?」
「うん、喫茶店」
「ふ~ん、どこ?」
私のバイト先へ竜生に来て欲しいとは思っていない。
「・・・言わない」
「なんでだよ!?」
「だって、竜生 冷やかしに来る気でしょ?」
「っ!?」
「だから言わない」
「ああ、そうかよ! 何かあっても知らないからな!」
と竜生は言った。
何かって何? 私がバイト先で失敗するかもしれないけど、それは竜生にはどうしようも無い事なのに。
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新君が綺麗だと思った風景の写メも頻繁に届く。
それが私の楽しみ。
ある日、私は休日に本屋に行った。
夕方に本を抱えて帰ってくると、竜生と、ミニスカートの女の子が二人で向こうから歩いて来た。
竜生の家からの帰りかな?と思った。
・・・ここは、知らん顔した方がいいよね?
家は同じマンションの同じ階だけど、別に仲良しって訳じゃないんだし。
学校だって違うから、彼女と今後会うこともないんだから挨拶なんて必要ないし。と思っていると、竜生が私を嫌そうな顔で見て、
「お前、本屋行ってたの?」
と話しかけてきた。
「うん・・・竜生はデートなんだね?」
隣の彼女に会釈して挨拶した。
すると彼女は嬉しそうに、
「もしかして幼馴染の花音ちゃん!?」
と訊いてきた。
私が頷くと、
「なんだ~、本当にただの幼馴染だったんだ」
と呟いた。
どういう意味?
「え?」
「幼馴染だって言ってるけど、実は付き合ってる?とか勘ぐってたから」
と彼女は笑った。
・・・おかしな事を言う人だな。と思った。
自分が竜生の彼女なのに、私と竜生が付き合ってるって思うなんて・・・。
私が困惑していると、竜生は、
「花音に変な事吹き込むな。 ほら、行くぞ!」
と彼女の腕を取って歩き出す。
「ごめんごめん。 そんな怖い顔しないでよ~」
彼女が竜生の頬を撫でた。
おぉ、今時の女子高生は積極的ですな?なんてオッサン発想をしてしまった。
・・・だって、私は人前で新君に触れるのは凄く凄く勇気がいる事だったから。
手を繋いだり、腕を組む時・・・私がこの人に本当に触れてもいいの?なんて思ってしまっていた。
それに、周りからの視線も痛かったし。
平凡な私が新君みたいなハーフの様なイケメンに なに触ってんの!? という視線をいつも受けていた。
それでも、新君から一身に受けた愛情を私は信じられたから、周りの目なんか気にしないもん!という気持ちを表に出し、遠慮する気持ちを打ち消して、いつも新君と手を繋いでいた。
・・・新君とこんな風に物理的に離れてしまうなら、竜生に何を言われてもいいから、もっと新君をうちに呼んでおけばよかった。
私の部屋に新君との思い出をもっともっと残して行って欲しかった。
彼女と竜生の姿を見ながら、新君を思い出して寂しくなってしまった。
夏休み少し前、新君から、お盆に数日こちらへ戻ってくると電話があった。
新君の家のお墓はこっちにあるからお墓参りに家族で帰るよって。
私は早くその日にならないかな~とウキウキ。
新君から毎日電話は来るけれど、新君が他の人の事を好きになるんじゃないかって不安だった。
だけど、会って新君の顔を見ることができたら、その不安が少なくなるんじゃないかな?って思っている。
竜生は相変わらず時々我が家にやってくる。
玄関ドアを開け、
「お前バカだろ? ちゃんと誰か確認してドア開けろ!」
と過去何度も叱られた。
確認して竜生だって分かったら居留守するっていう選択肢はOKなの?と訊きたくなる。
そんな事言うと竜生は自分の友達に私の話題を振ってくれなくなるし、私にも教えてくれなくなるだろうから言わないけど。
いくら口喧嘩しようと、忘れた頃に竜生は我が家へ来る。
さすが幼馴染。
明確な仲直りとか謝罪なんてお互いにしたことが無いような気がする。
竜生と同じ高校に通っている小・中の同級生で私の話題が出ると、
「たまに花音に連絡してやったら?」
とか、竜生は言ってくれるらしい。
その後、女子からはメールをもらったりする。
それがとても嬉しい。
学校が違うと遠慮してメールさえ頻繁に送ることはできなくなってしまっているから。
だから竜生から、アイツに彼女ができた。とか、あの子に彼氏ができた。あの子が結構なイケメンを振った。とか情報を教えてもらうのも実は楽しかったりして・・・。
最後に、「お前には彼氏なんてできてないだろうけどな!」と鼻で笑われてしまうんだけど。
「彼氏、ちゃんといます!」と言えない自分が情けない。
今さら新君と付き合ってるって言っても、きっと、
「遠恋で騙されてんだろ?」
と心無い言葉を言われるだけだろうって簡単に想像できちゃうし・・・。
久々に竜生が我が家に来た。
リビングのソファーにどかりと座った竜生は、「コーヒー」と一言。
私はいつも通りにコーヒーとお菓子を竜生の前に置く。
「花音、お前夏休みの予定は?」
「バイトするんだ」
「お前がバイト? 結局、迷惑かけるんだろ?」
と竜生は意地悪顔で笑う。
「そこは、やってみないと分からないけど・・・」
「どこで?」
「え?」
「バイト、どこ?」
「あ~・・・うん、竜生は知らない所だと思う」
「は? コンビニとかファミレスとかじゃないのか?」
「うん、喫茶店」
「ふ~ん、どこ?」
私のバイト先へ竜生に来て欲しいとは思っていない。
「・・・言わない」
「なんでだよ!?」
「だって、竜生 冷やかしに来る気でしょ?」
「っ!?」
「だから言わない」
「ああ、そうかよ! 何かあっても知らないからな!」
と竜生は言った。
何かって何? 私がバイト先で失敗するかもしれないけど、それは竜生にはどうしようも無い事なのに。
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