愛されることを受け入れましょう
「ラルブルの事、何か聞いた?」

膝の上で握りこぶしを作り、黙りこくってしまった私に、樹くんが優しく促してくれた。

「昨夜、あの営業マンが言ってた事、気になってるんだろ?」

もう一度伸びてきた優しい手は、今度はゆっくりと私の頭を樹くんの肩に寄りかからせた。その温もりに甘やかされて、私はやっと話し出す。

「ラルブルのメインプログラマーは絶世の美形で親会社の社長さんの息子か甥だって。それで後継者になるって。‥‥‥樹くんが社長さんになっちゃったら、今よりもっと不釣り合いになっちゃうよ。これ以上、私の面倒なんて見させられなくなっちゃう」

言葉と一緒に感情も溢れてきて、ポロポロと涙が溢れた。世話がやけるって、樹くんの負担になりたくないのに。

泣き顔を見せないように体を離そうとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。今までで一番強い力だ。

「それで、俺に確認しようと思ったの?」

頭の上から聞こえるはずの声は、くっついた体から直接、振動と一緒に流れ込んでくる。それは胸の奥深くまで響いて、私の感情を更に揺さぶった。
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