愛されることを受け入れましょう

「だって樹くん、私に知って欲しくなさそうだったし。でも気になって仕方ないし。でも樹くんが言ってくれないなら聞いちゃいけないかもって思うし。でも知りたいし」

感情のままに出てくる言葉は無茶苦茶で、自分でも意味不明だ。でも、樹くんは私を抱きしめたまま、穏やかな声で相槌を打ってくれる。

「うん、そうだ。そうだね。柚珠奈の気持ちは当然だよ。俺もね、いつか柚珠奈に知って欲しいと思ってた」

「なら、なんでっ？なんで昨夜、笹又さんの言葉をさえぎったりしたの！？」

「俺の口から伝えたかったんだ。他の誰かからじゃなく。ごめん、今更だけど聞いてくれる？」

私の瞳を真っ直ぐ見つめ、一言ずつゆっくりと教えたくれた。

「きっかけは高一の時だったんだ。俺が遊びで作ったプログラムを偶然見た親父の親友が興味を持ってさ。作り込んだら商品になるって言われたんだ」

「おじさんの親友？」

「学生時代のね。杉浦さんっていって、大学生の時にITの会社立ち上げた人。かなり遠縁だけど一応親族にもなるから、噂も間違いとは言い切れないかな。ま、息子ってのはありえないけど」