愛されることを受け入れましょう
強く言い切られて、不意に体から力が抜けた。抱きしめられていても、変に力んで強張っていたのに。全部を預けるように、体が樹くんに寄りかかっていくのが、自分でも止められない。

「ふふっ、やっと安心してくれたみたいだな」

私を丸ごと受け止めながら、樹くんはご機嫌に笑う。

「‥‥なんか、私、子供みたい」

樹くんと離れる事を無意識のうちにこんなに怖がっていたのかと、自分でもその依存度に驚いてしまう。

「子供なんかじゃないさ。子供だったら結婚話も来ないし、俺もこんなヤキモキしない」

「そっか、そうだね」

子供じゃないから色々考えて、自分の気持ちも素直に言えないんだもん。

「じゃあ、さっそく理一君に電話しようか。それとも直接断りに行く?」

「ち、直接!?ダメだよ。明日、お話しするって約束しちゃったし」

「約束?」

樹くんの目がすうっと目が細められた。不機嫌になる前兆だ。
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