愛されることを受け入れましょう
真剣な口調でこちらを見つめたまま話す理一君に、私も真っ直ぐ視線を返す。少しでも誠意が伝わるように。

「これでも後継者の自覚はあるからな、親父達から言われなくても、そろそろ本社に戻らなきゃいけないとは思ってた。でも戻ったら柚珠奈と会えなくなるし、面倒も見れなくなるだろ?だから、踏ん切りつかなくってな」

「いつから?いつから私の事、いつから好きでいてくれたの?」

小さい時はあんなに意地悪されたのに。大人になって再会してからも、女性として見られてるなんて全然気付かなかった。

「ガキん時からだよ。好きな子には意地悪するって、小学生男子の典型だ。成長して彼女も何人か出来たし、自分でも忘れたと思ってたんだけどな、会社に来た柚珠奈見て一瞬で気持ちが戻って来た。あー、俺やっぱりこいつが好きだなーって」

理一君は苦笑して、コーヒーに手を伸ばした手を止めた。

「好きって気持ちが高まってくのと同時に、あいつがずっと柚珠奈のそばに居続けたこともわかった時は、心底後悔した。どんな形であれ、ずっと近くにいたら良かったって。従兄弟っていうアドバンテージもあったのに。そうしたら、柚珠奈は今みたいになってなかっただろ?」
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