愛されることを受け入れましょう
「あいつって樹くん?」

「それ以外いないだろうが。でもな、柚珠奈。あいつはお前が知ってる以上に凄いかもしれないんだぞ?そんなヤツのそばに、これからもずっといられるのか?」

「‥‥ずっといるつもりはないよ。樹くんは王子様だもん、脇役の私は離れなきゃいけないって分かってる。でもね、直ぐには無理なの」

こみ上げそうになる涙を堪えて、微笑んでみる。
大丈夫、こんなのずっと前から分かってた。

「そうか。あー、やっぱ離れるんじゃなかったな。そしたら今頃、柚珠奈も即答で俺の嫁さんになってた」

「ふふっ、それはどうかな。でも、そうだね、理一君がずっと近くにいたら色々違ってたかも」

きっと、こんなに全部が樹くん基準な私じゃなかった。

視線を落とした私に目の前から大きな手が伸びて来た。その手は私の両頬をむにっと掴んで伸ばす。

「ひたたたたっ!ひたいよ、ひいちくん!!」

涙目で抗議の視線を送ったら、予想外に優しい目の理一君がいた。
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