愛されることを受け入れましょう
「謝るな。それされると、更に辛くなるから。それと、俺を避けたりするなよ。これからも上司で従兄弟で、柚珠奈の世話を焼くのは変わらない。だから今まで通りだ」

「ん、ありがと」

最後の最後まで優しい。ホント、なんで私は理一君を好きにならなかったんだろう。せめてもの気持ちで、笑顔で感謝を伝えた。




私を見送ってから店を出るという理一君に見守られて、私は約束の公園に向かう。
公園の中央辺り、時計台の下に樹くんはいるはずだ。

夜とはいえオフィス街に近いからか、公園にはまだ人通りが多い。時計台の下も数人のビジネスマンがいる。

「樹くん？」

その中で断トツに目を引くのはグレーのシャツにブラックデニムの背の高いシルエット。私のよく知ってる、いつもの樹くんだ。

でも今は、いつもと違う事が一つ。
樹くんの横には白いスーツとピンヒールが似合う大人の女性がいて、二人で一つのタブレットを覗き込んでる。どう考えてもお似合いのカップルに見えるツーショットだ。
< 121 / 158 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop