愛されることを受け入れましょう

「はぁぁーーー」

私のはっきりとした否定を受け入れたのだろう、数秒固まった後に長くて大きなため息を吐いた樹くんが膝につくくらいガクリと頭を落とした。

「なんだよ、俺はてっきり‥‥え？じゃあなんで一人で帰ったりしたんだ。理由を教えろよ」

「なんでって、それはその‥‥」

言える訳ないよ。樹くんと女の人のツーショットがお似合い過ぎたのがショックで逃げ出した、なんて。

「理一君と会う前はちゃんと店も教えてくれたし、メッセージにもおかしな所はなかった。なのに急に一人で帰るって言ってきて、こっちから連絡しようにも電源が切ってある。
これで何かなかったと思う方が変だろ？説明してくれるまで帰さないからな」

「帰さないって、だから私は明日も仕事で‥‥」

「仕事を理由に逃げるなよ。これは俺たちのこれからに関わる問題だろ？」

顔を上げた樹くんは怖いくらいに真剣な表情で私を見つめる。

「俺たちのこれからって‥‥理一君のプロポーズ断った事と樹くんは関係ないでしょ。だって樹くんと私は付き合ってる訳じゃないし」