愛されることを受け入れましょう
「くくっ、ホントにいるんだな、キスの時の息の仕方が分からない人って」

私を抱きしめたまま、樹くんは笑い続ける。

「仕方がないでしょ、経験ないんだもん」

「ん、だから嬉しくってもっとキスしたくなる。柚珠奈が知ってるキスは人生で俺だけなんだなーって、もっと愛しくなる」

不意打ちの真面目な告白はズルい。しかも樹くんみたいな美形さんは威力が違う。

「愛しいって、好きってこと?」

自信がなくて、おずおずと確認したら、もう一度キスが振ってきた。

「当たり前だろ?俺、好きな子じゃなきゃ優しくしないし、部屋にも入れないし、勿論キスも抱きしめたりもしない。ホントに気付いてなかったの?」

「だって、好きって言われてなかったし」

「ま、柚珠奈らしいか。俺もそこにつけ込んだんだしね」

「つけ込んだ?」

王子様には似つかわしくない表現だ。樹くんの腕の中、見上げたままで首を傾げる。
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