愛されることを受け入れましょう
「え、でも、樹くんは社長にはならないって」

「うん、積極的になるつもりはないよ。それは今も変わらない。社長なんかになったら忙しくなって、柚珠奈と一緒にいられないし、面倒もみれないからね」

「面倒みれないって、そんなの‥‥」

「社長じゃなくても、会社員になったら一緒にいられる時間はとても短くなる。でも経済的に自立しないと柚珠奈は養えない。難しい問題だったけど、俺は運が良かった。杉浦さんに道を開く助けを受けたからね」

今日何度目だろう。唖然として、思考が停止する。

じゃあ樹くんが大学院に進学したのも、プログラミングの仕事をしてるのも私の為?私と一緒にいることを最優先に人生を決めてるって事!?

「でも俺が将来的にも経済的不安のない人間だって証明する必要が出てきた。おじさん達だけじゃなく、柚珠奈のお祖父さん達だって納得させて、理一君との結婚話を引っ込めさせる為にね」

「それで社長になることにしたの?」

「厳密に言えば、いつでもなれる状態にしただけで、就任はしない。でも、この先社長になる男なら反対はできないだろ?」
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