愛されることを受け入れましょう
「なんでって柚珠奈を迎えに来たんだよ。最近部活で帰りが遅いだろ?おばさんだって心配してたから、俺が迎えに行くって言ったらとても安心してくれたよ」

確かにお母さんは樹くんに絶対の信頼を置いている。娘の私よりも。

「で、でも、樹くんだって学校あるんだし。それに、友達と帰れば大丈夫だよ」

「ダーメ。柚珠奈は可愛いんだから用心しないと」

ぐっと顔を近づけて心配げに見つめる樹くんに、私の時間は再度止まる。息まで止まってしまいそうだ。

「明日も迎えに来るから。ちゃんと門の所で待ってろよ」

おでこを軽く弾いて言う樹くんに魅入られて丸め込まれて、私の高校生活は樹くんの送迎と共に過ぎていった。



私の美的感覚は正しかったらしく、うちの高校生でも樹くんは「王子様」と呼ばれた。毎日、校門に迎えに来る姿から「校門の王子様」なんてあだ名さえ付いたりして。

そして樹くんを迎えに来させている私は、やっぱり身の程知らずと陰口を叩かれた。
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