愛されることを受け入れましょう

静かに澄み切った視線に真っ直ぐに見つめられて動けなくなる。

昔からそう。私はこうやって樹くんに見つめられたら、強がりも意地もはれなくなってしまうんだ。
まるで私より私の事を理解してくれてるみたいに、優しくて暖かくて安心できる視線は、心を覆っているごわごわとした殻をゆっくりと剥がしてくれるみたいで素直になれる。

「あの、ね。やっぱりラーメンの前に話聞いてくれる？」

もう一度、樹くんの肩に頭をのせて、ゆっくりを話し出した。

会議室で理一君に言われた事、それをどう受け止めていいか分からないこと。

よく考えてみたら、別に理一君に告白されたって訳じゃない。会話からその可能性を感じただけで、私の自意識過剰なだけかもしれない話だ。
だけど、樹くんは急がせることも、揶揄うこともせずにじっと静かに話を聞いてくれた。

「なるほど。だから柚珠奈は混乱したんだね」

「うん。決定的なこと言われたわけじゃないし、可能性考えて勝手に混乱しちゃっただけなんだけどね。でもさ、私これまでちゃんと恋愛してこなかったから、真剣に考えるキッカケになったのかも」