愛されることを受け入れましょう
ハイスペック幼馴染がいる私の現状は、理想ばっかり高くなってマトモな恋愛さえ出来ていない。しかも誰と会っても樹くん基準でしか判断出来ないなんて、将来を考えても絶望的だ。

月曜日に会議室で呟いた独り言が現実味を帯びてきたかも。



でも、どれだけ悩んでも時間は止まらない。

理一君だけじゃなくて、ひよりちゃんや由紀ちゃんを巻き込んでるんだし、ドタキャンもありえない。
大人しく定時と同時に席をたった。

「お疲れ様です。お先に失礼します」

金曜日だし、ヒマな時期だ。私以外にも帰り支度をする人は多い。その時、ざわめくフロアでひときわ大きな声が響いた。

「あれ?珍しいですね、部長が定時退社なんて。デートですか?」

揶揄うような男性社員の声に、フロア中の女子の視線が理一君に集まる。

「だといいんだけど、残念ながら学生時代の友達との飲み会。店だって昔から行ってる小汚い居酒屋だし」

「えー!松木部長の行きつけのお店ですかぁ? どこのお店か教えてくださいよぉ?」



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