愛されることを受け入れましょう
流石だ。親睦会に行く約束もしてないし、矢口さんへの回答にもしてない。空気も悪くせずに居酒屋さえ教えずに会話を終わらせた。

モテる男はかわし方もスマートだ。

でも矢口さんの行動力も怯まない根性も凄い。恋愛拒否症の私にはある意味、見習うべきかも。

一連の流れに感心していたら携帯が震えて、メッセージの着信音を知らせた。

『ぼーっとしてないで柚珠奈も早く出ろよ』

付き合いの長い従兄弟は、私への対処もぬかりない。

もう一度、近くの人に挨拶をして私もフロアを出た。



女子三人の待ち合わせ場所は理一君に指定されたお店近くのセルフカフェ。場慣れしてない私の為に、ひよりちゃんが集まってから行く事を提案してくれたのだ。

「お待たせー。ごめんね、ちょっと出るのが遅くなっちゃって」

窓際でひよりちゃんとカフェラテを飲んで待っていたら、待ち合わせ時間ギリギリに由紀ちゃんが走って来た。大手ホテルの秘書課にいるから、なかなか予定通りにはいかないらしい。

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