愛されることを受け入れましょう

渡された水を飲んでた由紀ちゃんが驚いてグラスから口を離した。あまりの勢いで、少し水がテーブルに溢れてしまう。

「あ、ごめん。驚き過ぎちゃった」

紙おしぼりでテーブルを拭きながら、由紀ちゃんが驚いた理由を教えてくれる。

「こないだ柚珠奈の話聞いてて思ったんだけどね、理一君って責任感強いタイプだよね？御曹司だからって言われない為に人一倍努力もしてる。そういうタイプって割りにプライベートは犠牲にしがちだから」

「‥‥‥由紀、誰の事話してるの？」

私もひよりちゃんの疑問に同意してコクコクと首を振った。目を伏せて話す由紀ちゃんは、まるで誰かの事を思い出して話してるみたい。

「い、一般論よ。うちの会社にもそういう人いるし、ね。それより、そろそろ行かないと遅れちゃうんじゃない？」

急に立ち上がって出口に向かう由紀ちゃんを慌てて追いかけた。色々聞きたい事はあるけど、今は確かに遅刻しないことの方が大切だ。