愛されることを受け入れましょう

どんどん剣呑になる雰囲気に慌てて止めに入った。いくら個室とはいえ、これ以上続けたらお店にも迷惑になる。

「理一君、ホントにありがとね。でも今日は私、樹くんと帰るよ。せっかく迎えに来てくれたんだもん」

なだめるように、でも強い声でもう一度言うと、理一君が大きなため息と一緒に不機嫌な声ながら、了承の返事をしてくれた。

「分かった。でも、まっすぐ家に帰るんだぞ。それで、玄関入ったらすぐに連絡して来い」

「うん。本当に今日はありがとうね」

その時、ひよりちゃん達と一緒に理一君と樹くんの不穏当な遣り取りを見守ってくれていた笹又さんが「あっ！」と声を上げた。

「もしかして、国枝さん？国枝樹さんだよね！？」

「信じられないよ」と言いながら喜んで樹くんに握手を求める笹又さんは、理一君が物凄い顔で睨んでる事さえ気付いてないらしい。樹くんに満面の笑みで自己紹介している。